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〒980-8577 仙台市青葉区片平2−1−1
放射光は,強力なX線であり,これは波長の短い光です.光で物を見るとき,分解能は波長の程度に制限されますので,ナノの世界を光で観察するためにはX線が必要となります.
我が国は,1974年に世界初の放射光専用加速器を東京大学原子核研究所で運用して以来,世界の放射光科学のフロントランナーとして今日に至っています.
しかしながら,1990年代からの高輝度光源化の中で,硬X線領域でSPring-8 (播磨・理研),極端紫外領域で UVSOR-III(岡崎・分子研)という世界最高峰の光源整備が行われたものの,軟X線領域が空白であり,この領域でのサイエンスが世界との間に大きく水を開けられつつあります.
医学,生物学,化学,物理学,物質科学など広範な科学技術分野で,ナノの世界の原子・分子の組み合わせから,それが発揮する機能を探るのは,現在の科学の大きなトレンドです.
放射光はナノの世界を見るための光であり,様々な分野に不可欠なものとなっています.より明るい(高輝度の)放射光を用いることにより,ナノの世界がよりはっきりと見え,速い動きの最中でも止めて観察することが可能となります.
このことを活かして,硬X線領域では SPring-8 が様々な学術分野に用いられ,また産業利用も進められていますが,より軽い元素に強みを持つ軟X線向きの次世代放射光施設は,科学技術分野を拡大し,より広い産業展開を可能とします.
このことから,東北大学青葉山新キャンパスに建設が決まった,次世代放射光に多くの期待が集まります.
東北大学は,多彩な学問分野を以て産業界を含めた異分野融合を促進し,イノベーション創出を先導するセンターを新設します.これによって2023年の運用開始と共にスムーズな活用と成果創出を実現し,リサーチコンプレックス形成に貢献します.
本センターの役割は,国側の国立研究開発法人・量子科学技術研究開発機構 (QST:National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology)と,民間企業の一般財団法人・光科学イノベーションセンター(PhoSIC:Photon Science Innovation Center)に対し,エンドステーションの設計や整備から,産業界によるエンドステーション活用まで,サイエンス面の学術の全面的な協力を牽引することであります.
本センターは,また,「リサコン4極構想」において,国外のリサーチコンプレックス間の連携のハブとなります.そして,国際的規模で,施設と連携する大学を通して,次世代放射光施設を活用した研究・教育、人材育成を実現します.
本学は既に,学内外に対する次世代放射光施設の利活用に向けた,ワークショップやシンポジウムを継続的に開催しています.2019年4月に主催した第1回国際フォーラムでは,大学を介した世界の主要な3
GeV級放射光施設と,研究・教育及び人材育成における連携の声明「AOBAコミュニケ」を受け,国内の主要国立大学および研究機関とも連携の機運を高めるに至りました.
本センターの設置とミッション遂行は,東北大学ビジョン2030に沿って全学で推進され,成果の発信と,優秀かつ挑戦的な人材と知の流入とが継続的にスパイラルアップするエコシステムの形成につながり,リサーチコンプレックスの原動力となります.
本学敷地内への設置が決定された次世代放射光施設を活用し,学術的挑戦性と産業的革新性の融合が誘発する産学共創の世界最高水準の研究開発拠点を形成します.
本拠点の戦略的活用により,産官学金からなるリサーチコンプレックスを形成し,イノベーション・エコシステムの構築とグローバル・リーダー育成等に取り組むことが可能となります.
「国際放射光イノベーション・スマート研究センター」では4つのミッション
センター長 村松淳司
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国立大学法人 東北大学
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